Movie Review ”それでも夜は明ける"とニール・ヤング

2014.03.17 Monday

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    Text By Seiji Nakashima

    Southern man
    南部人よ

    Better keep your head
    忘れるな

    Don't forget what your good book said
    南部に関する本に書いてある

    Southern change gonna come at last
    南部にもついに変化がきたる

    Now your crosses are burning fast
    今やお前たちの十字架は燃え上がっている

    Southern man
    南部人よ


    Neil Youngの歴史的名盤"After The Gold Rush"収録"Southern man"の歌詞です。痺れる様なギターソロに鳥肌ものの特大名曲であり、アメリカ南部の奴隷制度を平易な言葉で痛烈に批判したプロテストソング。アメリカの黒歴史を描いた実録映画"それでも夜は明ける"を観て久々にレコードを取り出しました。



    先日のアカデミー賞で作品賞を獲得したスティーヴ・マックイーン監督の3作目。今回内容について詳しく触れませんが、とっても丁寧なストーリー・テリング、実録ものにしては珍しいトリッキーな編集、そして奴隷主、ミヒャエル・ファスベンダーの狂いっぷりと目を背けたくなる様な、しかし直視せねばならない鞭打ちAnd More。何より、厳然たる事実として残るアメリカ様の歴史的恥部を描いたという意味では世界共通教材としても使われるべきでしょう。

    実際に鞭で打たれた背中、、、、



    ラストシーンが語り草となったマシュー・マコノヒー出世作"評決の時"。人種差別を扱った法廷サスペンスであり、△の帽子をざっくりと着こなす白人至上主義のレイシスト集団、KKK(クー・クラックス・クラン)の存在を初めて知ったのはこの作品。近作ではタランティーノの"ジャンゴ"でもバカ丸出しの集団として登場してましたね。

    KKKは元々南北戦争終結後、奴隷制の廃止に反感を募らせた奴隷商人によって結成され、罪なき黒人達に対して、放火、家屋破壊、あらゆる暴力行為(四肢の切断、縛った人間を電車に轢かせる)等のエクストリームな殺人行為を行ってきたキXガイ集団。こんなサノバビッチ-ズが縮小を重ねながらも今尚存在しているのです。

    ハロウィンでコスチュームが被った為緊急ミーティング


    南北戦争(1861〜1865年)以前の1841年からの12年間を奴隷として過ごした男の壮絶な手記を映像化した今作は貴重な歴史的資料であると同時に、現存するあらゆる人種間差別、及び民族紛争についてとても高尚な語り口で想起させてくれます。
    "システムとしての奴隷社会"の崩壊は実は表面的な譲歩でしか無く、人種間差別精神は我々人類が存続する以上消えない永遠のテーマとして残り続けるでしょう。そんな事を考えながら、じっくりと歴史の重みを直視してみてください。そして本作をそのまんま歌にした様な1970年リリース"Southern man"を是非ご拝聴あれ。

    I saw cotton
    綿畑を見た

    And I saw black
    黒人たちを見た

    Tall white mansions
    目の前に立ちはだかる白い豪邸

    And little shacks.
    そしておんぼろな掘っ立て小屋

    Southern man
    南部人よ

    When will you pay them back?
    いつになったら彼等に借りを返すつもりなんだ

    I heard screamin' and bullwhips cracking
    俺は絶叫を聞いたんだ、鞭で叩かれる音も

    How long?
    いつまでつづくんだ?

    How long?
    なあ、いつまでだ?


    Movie Review "マチェーテ・キルズ"

    2014.03.13 Thursday

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      Text By Seiji Nakashima

      クエンティン・タランティーノとその舎弟ロバート・ロドリゲスのコンビによってリブートされたグラインドハウスシリーズ。"プラネットテラー"、"デスプルーフ"のフェイク予告として制作されたR.ロドリゲス監督マチェーテにまさかの続編が!!!という事で今年一番のお祭りを期待しておりました。



      開始五分でド派手な銃撃戦、あっさり最愛のパートナーが惨殺されるアバンタイトルからのスタイリッシュなオープニングクレジットは前作と全く同様でテンションはうなぎ登り!!

      な筈でした、、、

      監督であるロドリゲスは本作で傑作続きのグラインドハウス・リブートシリーズに息の根を止めたのかもしれません。


      まずもってグラインドハウスは、60〜70年代におこった、"ハリウッド映画産業の商業システムの崩壊"というバックボーンがございます。システム崩壊後、野放しに晒された映画作家達は低予算で客を集めようと、エロ、グロ、バイオレンスを過剰なサービス精神で提供し始め、その結果、特定の人達が愛するエクスプロイテーション映画として観るに絶えないトラッシュ映画を量産。要する映画は高尚なエンターテイメントというより見世物小屋と化していった訳ですね。そんなのを3本くらい同時上映していた愛すべき70年代の産物なんです。

      先日購入したDVD"グラインドハウス予告編集Vol.1"に収録のタイトルを並べてみますとなんとなくイメージできるでしょう。

      "3 Fantastic Superman"(3人のスーパーマン)
      "Mad Doctor Of Blood Island"(地獄のマッドドクター)
      "Three On The Meat Hook"(悪魔のセックス・ブッチャー)
      "Slumber Party Massacre" (皆殺しのパジャマパーティ)
      "Satan's Cheerleaders"(悪魔のチアリーダーズ)



      どうですか。全く観たくないでしょ。これがグラインドハウス。ついでにDVD収録以外にも、"パペットマスター"、"ゲロゾイド"、"処刑軍団ザップ"、"女切り裂き軍団チェーンソー・クイーン"などなどを追加してみます。どうですか。心から観たくない事でしょう。そして全くオススメもできないのがグラインドハウスの産物なのです。

      しかしながら、多感な幼少期にこれらのゴミビデオのパッケージを小さな人差し指と中指で作った隙間から恐々眺め、ヤンキーのバイトに貸出を咎められないかドキドキしながら1本五百円払ってレンタルしていた自分にはとても思い入れの深い作品もたっぷりあるのです。

      また、マーティン・スコセッシ監督の"タクシードライバー"の様な泣く子も黙る名作も当初は"ミッドナイトロードショー"というグラインドハウス枠だったというキャリアもあります。そんな迷作達にオマージュを捧げたのが前述済のタランティーノとロドリゲスなんですね。


      で、肝心の本作はというと、必要不可欠な"無駄の美学"がもういいでしょ的に省かれてました。本家グラインドハウスをきっちりオマージュしてみせた生粋のB級オタク、タランティーノの"デスプルーフ"は無駄な演出、雑な編集がふんだんに仕込まれており、お家芸と言っても過言では無い会話劇ですら、"わざと"退屈に演出するほど。はっきりいって悪役カート・ラッセル出演シーン以外寝てもかまいません。がこの寝てもいい感じが肝。

      ロドリゲス編の"プラネットテラー"、"マチェーテ"では意図的にフィルムダメージを施したり、ストーリーに関係ないオッパイをふんだんに出したり、片足マシンガールが大暴れしたりと、まだオマージュ頑張ってまっせ感がみられたのですが、マチェーテ・キルズでは前作以上にCG多用のバイオレンス&アクションが退屈さを助長し、豪華なスターの立ち回りが全てどーも空虚。レディー・ガガのR18レベルの濡れ場挿入するとか、メル・ギブソンにはマックスにマッドな皮ジャン皮パン着せるとか、どーせ大物使うならもっともっと役者でふざけて欲しかった。でないと主役のダニー・トレホの影がひたすら薄くなるだけである。バジェットが増えて遊び道具が増えた所為か、金かけた遊びやなー、という印象しか残りませんでした。

      でも待ってください。
      金かけてると思わせたら本末転倒のグラインドハウスでしょう!!

      マチェーテ・キルズはグラインドハウスを自らキルしてしまった印象に終わった次第で、、うーむ残念。


      も一つおまけに、グラインドハウスで最も楽しみなフェイク予告が"マチェーテ イン スペース"のみってのが"ロドちゃんゴチです腹一杯す"です。


      次回は何観ようか絶賛検討中です!!

      下水飯店 「お」後編

      2014.03.13 Thursday

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        Text By Satoshifaction


        気に入っている話の中でぱっと思い出すくらい強烈だったのは、「ノ貫」(へちかん)という伝説の茶人が出てくる、31巻「鍋対決!」です。


        まるで赤ちゃんの肛門みたいな、それはそれは慈悲深い顔をしています。ひっくり返しても顔、みたいな顔をしています。

        なぜ31巻かと覚えているか、それは感動のあまり、というのは嘘で間違えて2冊買ってしまって家の本棚で目立っていたからです。ノ貫の凄さは、良い水を求めくんくんしながら良い水の匂いのする料亭?「岡星」までふらふら歩いてきた。それだけで驚きなのに、その水を持ってどこに行くのかと思えば公園で浮浪者たちに汚い茶碗ではあるが最高のお茶を振る舞う。その姿に感動した山岡は次の鍋対決で、ノ貫の教えから学んだとし、気兼ねなく誰でも楽しめるように、ありふれた食材をつつきあいながら知らぬ間に仲良くなれてしまうというよろず鍋を提供。雄山はスッポン鍋、フグチリ、アワビのしゃぶしゃぶ、ハモと松茸の鍋、松葉ガニの鍋、という贅の限りをつくした五大鍋。結果、雄山が圧勝。山岡はそんなのおかしい下衆だ、みたいに言うが、ノ貫曰く
        「雄山のは単純明快、今手に入る最高のものを食べさせてあげたいという素直な心が見えた。山岡のは濁っていてもてなされる方としてはくつろいだ気持ちになれない。仏の前では松茸もシイタケも、松葉ガニも豚のひき肉も同じじゃよ。高い安い言うのは市場の原理じゃろ。」
        ここでガツンときた。
        さらに、「黄金の茶室が、しみじみと落ち着いて素朴に見えることもあれば、ワラぶき屋根の草庵が鼻持ちならぬ虚飾と媚に満ちて見えるもてなしもあるぞ。」
        ライデインを食らった。とてもいい言葉だと思った。ノ貫にいわせりゃ

        というくらいなのかもしれないけど。ここまであらすじで文字を稼いですみません。
        「心尽くし」を大切にするのであれば、ラーメン屋のアンケートや、それがあるために感情移入できないテレビ番組のなんでも字幕が出るやつ(目の不自由なひとにとっては役立っているようなのであまり言えませんが)はどうか?雅子様の文句を言う奴や、優秀なひとの頑張りを見ないで才能のひとことで片付ける奴はどうか?などと論点はずれてきますが、要するに相手を深く思いやる心から起こすアクション、素直な気持ちを真っ直ぐに伝えることの大切さ、だから好きな子をいじめるのはちょっと違うぞ、かといって女子供に媚びるな、下足番でもやらせておけということを学びました。

        家族愛、思いやり、荒療治、反骨精神、友情、偏り、テキトーさ、多くの影響を受けました(10巻くらいまで)。恋愛話が絡む回はどうもヘタクソなところも気に入っています。
        52巻くらいの金上が出るあたりまで、または栗田が結婚して横分けヘアピンで鬱陶しくなるまで(人物の顔が横長になるまで)は本当に面白かった。登山するのにもあの黒スーツで、ジャズ好き、MAC信者、偏見。
        でも豚肉食ってガンか何かが治ったりするのはどうもなあ。ラップ調にして料理番組をやるんだとか言ってた回も本当に酷かった。三三七拍子みたいな、あれをアニメ化したら凄いと思う。暫く読んでないなあ。Dang Dang 気になってきた。ULTIMATE バーサス SUPREME フォーエバー!!!!!

        )



        下水飯店 「お」 前編

        2014.03.05 Wednesday

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          Text By Satoshifaction


          いしんぼが好きだ。
          味について真剣に話をする様がたまらない。味のことくらいで大のオトナが熱くなったりして、という意味では決して無く、「味もの」「学園もの」が多分好きなんだと思う。
          美味しんぼの話でこのブログの「あ」〜「ん」までいけそうなくらいである。
          美味しんぼ、と聞いてイモくさいな、ダサいな、と思う女性がいたら、以下のエピソードを聞かせてごらんなさい。

          デザート対決か水料理対決か何かで、雄山が薔薇の鉢植えをテーブルに置いた。ぽかんとしている皆を余所に、雄山はすっとその薔薇に溜まった露を飲んでみせた。空気のきれいなオーストラリアで子どもに教わった、薔薇の朝露の味を再現したとのこと。なんてロマンチックなお話でしょう。審査員のまねをして「甘露〜!まさに甘露〜!!」と、糖尿気味のションベンをすすりながら言っておやりなさい。それか、14巻"ポテトボンボン"の画像を見せて溜飲を下げてもらってください。

          美味しんぼ、と聞いてのむらしんぼ、と思うひとがいたら、それはつるピカハゲ丸、と背中をさすってあげてください。今後もまた美味しんぼの話が出たら、書くことがないんだなと思ってもらっても構わない。下のダサい画像は僕の昨年へび年の年賀状です。



          8巻の「鮎のふるさと」で京極万太郎が自身の快気祝いに鮎をてんぷらで食べたいと言ったので、山岡が吉野川かどっかの鮎、雄山が四万十川の鮎を使った。みんなうまいうまいこりゃ甲乙つけがたし!と言っていたところ、ふと万太郎をみるとこの顔をして食っていました。この後「なんちゅうもんを‥なんちゅうもんを食わしてくれたんや‥ああ、ほんまにうまい。これに比べると山岡はんのはカスや」とDIS。そのこたえは万太郎のふるさと、四万十の鮎を使った雄山の勝ちでした〜!ということです。テメエの快気祝いでやらせといてカス呼ばわりされる山岡に同情したものですが、材料自慢・腕自慢に陥るとこうなる。真のもてなしとは何かを示す味わい深い話でした。口から出ていたのは本当は四万十の鮎のしっぽですが、へび年なので代わりにかわいいへびをあしらってみました。’2013 S/Sコレクションにコサージュとしてどうですか、というメタファーは込められていません。

          この京極万太郎、チャームポイントはいろいろありますが、まずは頭頂部に注目して頂きたい。余生、ここの膨らみについて話題になることもあるかもしれない。何なのか?何のために?何が入っているのか?新弟子検査、食べ頃のおもち、コクピット・・う〜ん、しっくりこない。・・お察しのいいひとは、冒頭のポテトボンボンの右下の画像にソックリなことに気がつくでしょう。かなりイイ線だ。

          しかし私の説は違う。「仏跳牆(ファッチューチョン)のフタ」ではないか?と唱えます。
          仏跳牆とは、[高級海産乾物類、鶏や金華ハムなどの肉類、野菜や漢方食材など、数10種類もの食材をスープとともに壺に入れて密封し、長時間蒸して仕上げた最高級スープ料理のひとつ。そのあまりの美味さゆえ、香りを嗅いだ僧侶までもが牆(垣根)を跳び越えて食べに来ることに由来していると言われている」で、9巻に出てきます。その美味さゆえ、財力にもの言わせて「もうこんな美味いもんにフタはさせへん、この世の美味いものはぜ〰んぶワイのものや」という意味を込めて、自身の身体に閉じ込めたのではないでしょうか?ペアタトゥーのような感じで。安岡力也は、獄中で度胸試しで自身のアソコに歯ブラシの柄を突き刺したと聞きます。また鼻の横のほくろには、「財運に恵まれ、過度の欲を持たざれば安泰」という意味があるそうです。強欲ですが、確かに巨万の富を得ています。このように顔ひとつとっても色々と背景が浮き彫りになってきます。見てないけど恐らく、ダヴィンチ・コードという話もこんな感じなのでしょうね。

          この泪洟ちょぼ鮎の顔のTシャツを作りたいと思う程でした。


          ↑どことなく、似ていませんか?

          (後編に続く)




          Movie Review 主演&助演男優賞受賞作 "ダラス・バイヤーズクラブ"

          2014.03.02 Sunday

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            Text By Seiji Nakashima


            臀部(でんぶ)、尻、ケツ、桃。名称は多々ありますがまたやってくれたな!!マシュー・マコノヒー!!
            キラー・スナイパー、マジック・マイク、ペーパー・ボーイ。近作で晒しまくった尻を今回もきっちり晒してくれました。

            そして只今結果を尻、ました。本当にやってくれたなマシュー・マコノヒー&ジャレッド・レト!!

            アカデミー主演男優賞&助演男優賞W受賞!!



            20?もの減量を行い、文字通り骨と皮に化したマシュー・マコノヒーは本作で本物の英雄を好演。お疲れさまでした、そしておめでとうと心から言いたい。

            似ている(F.ザッパ&M.マコノヒー)

            余談:「フランク・ザッパに似てる」と言われましたが、僕はイケメンでしょうか?
            というYahoo知恵袋のヘビーな投稿を発見。サシャ・バロン・コーエンより少しイケメンだと思います。と心でアンサー。

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            余命30日と宣告されたエイズ感染者、ロン・ウッドルーフ(ストーンズのあの人ではない)が生きることに渇望し、米政府非認可薬を国外から密輸。自身への投与と並行にバイヤーズ・クラブ(購買者団体)を立ち上げ、多くのエイズ患者の救世主となった実録映画。

            エイズを主題として扱った映画としては、トム・ハンクスとデンゼル・ワシントン共演の"フィラデルフィア"が有名ですが、本作の舞台となる80年代初頭はまだエイズに対するまともな治療薬が無く、尚且つ超保守&バイブルベルト(キリスト原理主義)に属するテキサス州が舞台という事で背景はもっと過酷。同性愛、エイズに対するハードな差別、故に軽視されるエイズ治療。みるみる衰弱していく身体にバタバタと死んでいく患者達。そして命より法と保身を遵守する役人と製薬会社。当時エイズはまさに死神そのものだったんですね。

            元来、酒、女、博打好きで差別主義者の最低男、ロンがエイズという死神を死にもの狂いで振り払うが如く、法、役人、医者、製薬会社からかつての仲間達に狂犬のごたる噛みつく様が凄まじい。
            何度倒れて担がれても捨て台詞と共に自主退院。点滴ひっぱりながら"国民が選択肢を見つけるのが恐いんだろ"とお役所を凶弾する様はまさに革命家。かつては法など度外視してきた暴れ牛が、既存の法にあたって砕けろマインドでもの申す正義のアウトローに変貌していくのです。

            そんなロンのパートナーとなるのが同じくエイズ患者でマーク・ボラン好きのニューハーフ、アカデミー助演男優賞受賞のジャレッド・レト演じるレイヨン。(どっかで観たなあ、と思ったらトラウマ映画として不動の地位を誇る"レクイエム・フォー・ドリーム"のヘビージャンキーだった)


            性転換を行ったゴリゴリのニューハーフという設定だけあって、ロン、ひいては劇中の主要人間達と対照的に思想はリベラル。本作において唯一の善悪を超えたミューズと言える人物として登場します。そんなレイヨンにロンは次第に"性別"を超えた"愛情"を育みます。対照的で凸凹な2人のバディ感がとにかく愛おしく、シリアスな物語を驚くほど軽快に推進します。

            そしてこの2人を中心にバイヤーズ・クラブはどんどん拡大しますが、所詮違法は違法。訪れるバイヤーズ・クラブ(というかロン孤軍)と政府の避けられない対決、迫るロン、レイヨンの余命、、、そして命を削る革命は成功しうるのか。

            この作品には"喜怒哀楽"全部詰まってます。"人はいつか死ぬもんだ"と吐き捨てる様に言っていたロンが、まさかの死に直面。生涯無縁と思われていた色彩豊かな人間と出会う事で"人生は一度しかないんだ"という一期一会メンタリティにギアチェンジする"最低男の魂の成長"。ラストに訪れる事実は驚愕と感動で涙腺決壊。"優れたフィクションは事実さえも覆す"という言葉をどっかで聞きましたが、これはまるでその逆パターンと言えるとてつもないノンフィクション。

            コスプレヒーローだけが世界を救う訳じゃない!!

            作品賞は逃したものの、絶対劇場でその雄姿を確かめるべしです!!


            次回はアカデミーとは生涯無縁"マチェーテ・キルズ"観賞予定です。