ALFFO RECORDS MOVIE REVIEW 『パーティで女の子に話しかけるには』

2017.12.05 Tuesday

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    〈Text By Seiji Nakashima〉

     

    「こんな映画だとは思わなかった、、、」という衝撃作がこの世には確かにあって、例えば『ジェイコブス・ラダー』『ポゼッション』という異物はその最たるものであると思われる。そして現在公開中の『パーティで女の子に話しかけるには』(以下POH)もそれらに等しく、今後カルト化を免れない「トンデモ映画」であった事に興奮を禁じ得ない。

     

     

     

    「童貞パンクスと宇宙人の恋」をテーマにした作品に間違いは無いが、カルト化を免れないと言った手前勿論それだけの映画では無い。ストーリーに言及する事は憚られるが、端的に言ってしまうとPOHは、

     

    「知能/知恵を持つもの同士であれば(現在よりも)よりよい対話が成り立つはずである」

     

    というメッセージこそが根幹では無いかと思っている。

     

     

    ここには監督のジョン・キャメロン・ミッチェル自身がゲイである事も深く関わっていると思われるが、例えば体制派(保守派)にとっての「パンク」、異性愛者にとっての「同性愛者」、NYにとっての「スティング」は時として「エイリアン=部外者」という言葉にとって代わる。

     

     

     

     

    POHでは判りやすく、記号としての「異星人=エイリアン」を登場させているが、彼等がSFで描かれるステレオタイプな侵略者、あるいはただの捕食者では無く、異なる文明と文化と知恵と歴史を持った「部外者」である事を非常におもしろおかしく描いている(この辺のシュールな絵面がカルトそのものなのである)。彼等の滑稽さはピュアなパンクス達と重なり、両者の対立構造を徐々に軟化させる。その先には対話可能な余白があり、共に未来を生きることだって不可能では無いかもしれないという事を示唆し始める。その様は、

     

    「平和と愛と相互理解を願って何が可笑しいんだ」

     

    と歌ったE.コステロの歌詞にも重なる。

     

     

     

     

     

    ところで本作のEDに流れるXiu XiuとMitskiによる"Between the Breaths"が公開以前から話題となっていたが、彼女のブレイク曲"Your Best American Girl"の対訳で以前こんな事を書いた。

     

     

    「幼い頃から世界を転々としてきた彼女にとって、異国においてアイデンティティを確立する事の苦難、そして異文化における異性との相互理解の苦悩を綴った歌詞ではないだろうか。」

     

     

    ジョン・キャメロン・ミッチェルがMitskiに目をつけたのは"Your Best American Girl"に感銘を受けたに違いない。

    そして本作のサウンドトラックにはDavid Bowie, Lou Reed, Ezra Furman, The Damnedなど、愛すべきエイリアン=異端者達の楽曲で占められている。アナログ化を切に願う。

     

     

    V.A. / How To Talk To Girls At Parties

     

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