Alffo Records 対訳ピックアップ NO. PHOEBE BRIDGERS "MOTION SICKNESS"

2017.12.26 Tuesday

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    <Text By Seiji Nakashima & Tina>

     

    何度も何度もリストックするが足早に去っていくPhoebe Bridgersのデビューアルバム『Stranger In The Alps』。リード曲"Motion Sickness"が話題になっているが、なんとなくアフタークリスマスにアップする事が常識人として正しい行為の様な気がしたので本日解禁。

     

     

    ■Poebe Bridgers

    米カリフォルニア発の女性SSW。2016年、デビューシングル『Killer』をライアン・アダムス主催のレーベル〈Pax American〉よりリリース。同年にはJulien Bakerのツアーサポートをつとめ、今年デビューアルバム『Stranger In The Alps』をリリース。

     

     

    I hate you for what you did
    And I miss you like a little kid
    I faked it every time but that's alright
    I can hardly feel anything
    I hardly feel anything at all

     

    あなたがしたことが大嫌い

    でも子供みたいにあなたのことが恋しいの

    その都度偽っていたけど、それでよかったのよ

    もう何も感じない

    何もかも感じなくなったわ

     

     

    You gave me fifteen hundred
    To see your hypnotherapist
    I only went one time, you let it slide
    Fell on hard times a year ago
    Was hoping you would let it go and you did

     

    あなたは私にお金を渡して

    「催眠療法師に会いに行け」って

    1度だけ行ったのよ, あなたは気にもかけてくれなかったけど

    1年前は本当に辛くて、放っておいてって思ったし、結局あなたはそうしたわよね

     

     

    *

    I have emotional motion sickness
    Somebody roll the windows down
    There are no words in the English language
    I could scream to drown you out

     

    私の心は乗り物酔いしたみたいにフラフラで

    だから誰かに窓を開けてほしい

    言葉にはできないくらいなの

    でも思いっきり叫んであなたをかき消すことが出来るわ

     

     

    I'm on the outside looking through
    You're throwing rocks around your room
    And while you're bleeding on your back in the glass
    I'll be glad that I made it out
    And sorry that it all went down like it did

     

    私は外から見ているけど

    あなたはガラスに囲まれた部屋で石を投げている

    だから背中から血を流し続けるの

    私はそこから出れたことを嬉しく思う

    そしてあなたがそんな風に落ちぶれたことに同情するわ

     

    *Repeat

     

    And why do you sing with an English accent
    I guess it's too late to change it now
    You know I'm never gonna let you have it
    But I will try to drown you out

     

    ねぇ、あなたはなぜ英国アクセントで歌うの?

    もうその癖を直すことは手遅れだと思うけど

    でもあなたのものには絶対させないからね

    あなたをかき消そうをし続けるから

     

     

    You said when you met me you were bored
    You said when you met me you were bored
    And you, you were in a band when I was born

     

    私たちが出会った日、「毎日退屈なんだ」って言ってたわよね

    私たちが出会った日、「毎日つまらないんだ」って言ってたわよね

    そして私が生まれた時、あなたはすでにバンドを組んでいたんだっけ

     

     

    I have emotional motion sickness
    I try to stay clean and live without
    And I want to know what would happen
    If I surrender to the sound
    Surrender to the sound

     

    私の心は乗り物酔いしたみたいにフラフラで

    汚れずに、苦しまないように生きようと頑張っているの

    これから私がどうなるか、あなたにわかってもらいたいの

    私がもし、音に身を委ねたら

    私がもし、音に身を委ねたら

     

     

     

    The xx"On Hold"の歌詞に共通しないでもないが、この物語、彼女の実体験に登場する恋愛対象(男と仮定)はオリバーの様なセンシティヴな優男では無く、推定年齢40〜50歳(Phoebeが今23歳、彼女が生まれた時既にバンドをしていたというパートに順じて)のヤリ〇ンミュージシャンであろう。"English Accent"というくだりが注意を逸らす為のフェイクで、相手が実はRyan Adams(現43歳)だったら洒落にならないが、Phoebeのデビューの前年に離婚した経緯を鑑みると少し勘ぐってしまう(井上公造メソッド)。

     

     

    Phoebeの1人称視点で簡潔に語られる本曲の歌詞に小難しい考察は不要の様に思える。

    "Motion Sickness"はイニシエーションを経て、過去にケリをつけたポジティヴな歌である事は「喪服の様なメンズスーツを纏うPhoebeの出で立ち(自身の過去を弔うが故)」、そしてラスト「If I surrender to the sound」という穏やかに幕を降ろす一節に顕著である。「The sound」とは成長を経たPhoebe Bridgers自身が奏でるサウンドなのか、あるいは新しい恋人を指すメタファーなのか。いずれにせよ金を渡してセラピーにいかせる様なオヤジの奏でるサウンドでは無い。(ところでPhoebeは相当メンヘラなのか?)

     

     

    ここでひとつ勉強。訳者の解説無しには知る由もなかったパートだが、

     

    You're throwing rocks around your room
    And while you're bleeding on your back in the glass

     

    は直訳すると野暮ったいが、ヨーロッパ圏で用いられることわざ↓

     

    People who live in glass houses should not throw stones

     

    の言い換えで、日本のそれに置き換えるなら「人を呪わば穴二つ」、もっとくだいて言えば「因果応報」、「バチあたり」に該当する様だ。なるほど先人は面白い言い回しを思いついたものだ。

     

     

    結論。恋愛とは良い時も悪い時も「酔い」を伴うが、乗った先がバンドマン/ミュージシャンである時は特にシートベルトをきつく締めるべし。

     

     

    以上。来年もこんな感じでマイペースに訳してきたいと思います。(訳すのは自分の仕事では無いのだが、、)

    来年も何卒宜しくお願いします。

    Alffo Records 対訳ピックアップ NO. ALEX CAMERON "RUNNIN' OUTTA LUCK"

    2017.10.22 Sunday

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      <Text By Seiji Nakashima & Tina>

       

      オーストラリアシドニー発。実に漫画的かつフィクショナルな存在感で今日が2017年である事を忘れさせてくれた珍ターテナーAlex Cameron。常聴きまくっている最新セカンド・アルバム『Forced Witness』から"Runnin' Outta Luck"をピック。

      想像通りの内容で笑ってしまった。

       

       

       

      There's a light in your hair, an apocalyptic glare
      We're in love again, we're in love again
      And it looks just like a comet, fire coming from it
      Oh baby, let's just sit back and stare
      We're in love again, we're in love again
      And I can't stop thinking 'bout it
      My favorite kind of fever
      When you tell me not to doubt it, I tell you I believe you

       

      君の髪は輝いている、世界が終わりそうなくらい眩しいよ

      俺たちは恋をしている、再び愛し合っているのさ

      まるで彗星のように、炎が出ているし

      だからベイビー、ゆっくり座って見つめ合おう

      だって俺たちは恋をしているから、再び愛し合っているから

      ずっと考えてしまうんだ

      俺好みの熱を帯びているんだから

      君は疑わないでって言うから、俺は信じるてるぜって答えるのさ

       

      [Chorus]
      I'm a man on a mission, you're a stripper out of luck
      And we're good in the back seat but we're better up front
      And there's blood on my knuckles 'cause there's money in the trunk
      Keep running out of luck, keep running out of luck

       

      ※俺はミッションを背負った男で、君は不運なストリッパー

      俺たちには後部座席も悪くないが、本当は最前席がふさわしいのさ

      俺の拳が血に濡れているのは、カバンの中に大金が入っているからで

      運を使い果たし続けているんだ(×2)

      [Verse 2]
      Now there's cash on a stage, doesn't matter what they paid
      We're in love again, we're in love again
      So please don't stand around me
      When she starts her dancing
      I'm feeling like I might catch a case
      We're in love again, I said we're in love again
      And I can't stop thinking 'bout it
      She's probably gonna leave you
      But she tells me not to doubt it
      And I'm starting to believe her

      Understand

       

      ステージには金がある、いくら払っても構わない

      だって俺たちは恋しているから、再び愛し合っているから

      だから頼む、彼女が踊り始めたら

      俺の周りには近づくな

      警察に捕らわれる気分になっちまう

      俺たちは恋しているのに、再び愛し合っているのに

      俺は考えることをやめられないんだ

      彼女がいつか俺を捨てるじゃないかって

      でも疑わないでって言われているんだ

      だから俺は信じることにした

      わかってきたのさ

       

      ※Repeat

       

      [Post-Chorus]
      In a neon boneyard, raised from the dead
      We'll bet on forever but we both know the spread
      And the smoke from your fire's going straight to my head
      So keep running out of luck, keep running out of luck

       

      ☆ネオンの墓場で、死者たちは蘇る
      俺たちはスプレッドを分かりながら永遠に賭け事をし続けるのさ

      君の情熱から出る煙は真っ直ぐ、僕の頭の中に入ってくる

      だから運を使い果たし続けているんだ(×2)

       

      [Bridge]
      Where you been?
      I been in the smoke
      Oh oh, oh

      (女)あなたはどこにいたの?

        (男)俺は煙の中にいたんだ


      ※Repeat
      Repeat

       

       

      「寄りを戻した男と女。俺はどうしようも無いヤツだし人生という賭け事にはいつか運が尽きる時がくる。それでも俺は今君を途方も無く愛している」

       

       

      と、簡単に要約してみただけで顔がマントヒヒの尻ほどに真っ赤になっている所で改めてAlex Cameronのハートの強さに震える。あまりに時代錯誤な詞は映画で例える所の『明日に向かって撃て』『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』の70年代逃避行もの(所謂アメリカンニューシネマ)、そしてそれらの影響下にある『トゥルー・ロマンス』『ワイルド・アット・ハート』といった所か。つまり非常にハードボイルドでロマンチック(?)な詞である一方、身も蓋も無い言い方をすれば甲斐性無いボンクラ男が自己陶酔の結果ロマンに溺れる話である。ANCの結末よろしく、運を使い果たした男の最期は「死」しか残されていない。

       

      "Runnin' Outta Luck"をリードとした今作『Forced Witness』に何故これほどまでの求心力があるのかというと、アメリカン・ニューシネマが時代のカウンターカルチャーの産物であったのと等しく、Alex Cameronほどナルシスティックで倒錯した世界観を提示するペルソナ、それ自体が現音楽シーンのカウンターに成り得ているからではなかろうか。例えば同郷Kirin J. Calinanはゲイ的、グラムロック的、あるいはトリックスターとしてアプローチする事でポップミュージックを別次元に昇華したが、それ自体は決して目新しい事では無い。だが今作のAlex Cameronは自らエクストリームな保守化を図る事で逆説的に革新性をまとってしまった事が非常に興味深い。曲自体に異常なまでの求心力がある事は大前提として。

       

       

       

      追記しておくと、Alex Cameronが今作でみせた音楽的変化は「David Lynch's Parisian club」(マルホランドドライヴにインスパイアされたパリのバー)でのパフォーマンスがFoxygenのJonathan RadoとSam Franceの目に留まりフックアップに至った経緯があるらしい。D.リンチにフォキシゲン。必然の出会いがオーストラリアに新たなヒーローを誕生させた。Alex Cameronの運はまだまだ尽きそうにもない。

       

      あまりに"Running' Outta Luck"のイメージにピッタリなエンディングなので

       

      ALEX CAMERON / FORCED WITNESS

       

       

      FOXYGEN / HANG