Alffo Records 対訳ピックアップ NO. HATCHIE "SURE"

2018.05.30 Wednesday

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    <Text By Seiji Nakashima & Tina>

     

    オーストラリアではアーティストにとって登竜門的ラジオ局として名高い「Triple J」にアップロードされた"Try"が瞬く間に世界中でバズりだした。

     

    パフォーマーはHarriette PilbeamによるソロプロジェクトHatchie。この時24歳、まだ一度もLiveを行った事が無かったという。

     

     

     

    続けてリリースされた"Sleep", "Sugar & Spice", "Sure"。お聴きいただくのが早いのだが全て重犯罪レベルのキラーチューン。

    暴論を承知で打ち明けるとHatchieは実にMy Little loverっぽい佇まいとメロディの懐っこさがあると思っている(小林武史は偉大なのであって)。

     

    そして何より天然からこそ成せるであろう被写体としてのオーラ/カリスマが尋常では無い。

    必要なピースは早くも揃い、デビュー・アルバムに期待するなと言う方が無理である。

     

     

     

    という事でリリース前ながら高まる興奮を抑えられず対訳してみました。

     

     

     

     

    [Verse 1]

    Why did you do it?

    You couldn't just laugh and walk away?

    Yeah, how could you do it?

    Is there any power in what I say?

     

    ねえ、何故そんなことしたの?

    どうして笑って立ち去る事ができなかったの?

    どうやってそうなったの?

    私の言う事に何の意味もないの?

     

    How can I fix this?

    I'm taking a guess you didn't stay?

    How could I miss this?

     

    どうしたら直せるのかしら

    あなたがそこに居なかったって思っておくわ

    全く見当違いだったって訳ね?

     

    [Pre-Chorus]

    You say you want it to be over

    But is it ever really over?

    And if it's never really over

     

    あなたはもう終わりにしたいと言うけれど

    本当にこれは終わりなの?

    もし、本当に終わりなら、、、

     

    You say you want it to be over

    But is it ever really over?

    I've been trying, but I can't give it up

     

    あなたはもう終わりにしたいと言うけれど

    本当にこれは終わりなの?

    頑張ってる、諦めたくないの

     

     

    [Chorus]

    Yeah I'm not sure about it

    But I'm sure you can change my mind

    Do you wanna go without me?

     

    確信は無いけど

    あなたの気持ちが変わると信じているのよ

    あなたは私を置いて歩みだしたいの?

     

    Yeah I'm not sure about it

    But I'm sure you can change my mind

    Do you even care about me?

     

    私の気持ちは揺らいでいるの

    でもあなたの気持ちが変わると信じているのよ

    私のこと、大切に思ってるの?

     

    [Verse 2]

    How could you do it?

    With no other thought and walk away

    Why did you do it?

    Is there any truth in what you say?

     

    どうしてそんなことができるの?

    何の解決も無しに立ち去るなんて

    どうしてそんなことしたの?

    あなたの言う事に真実ってものはあるの?

     

     

    Are we really though it?

    I always thought things would stay the same

    Hang on to this feeling

    'Cause I wanna know when your mind changed

     

    私たちは本当に終わりなの?

    いつも変わらず一緒にいれると思っていたのに

    この気持ちにしがみついていて欲しいの

    あなたの気持ちがいつ変わるか知りたいから

     

    [Pre-Chorus]

    You say you want it to be over

    But is it really ever over?

    And if it's never really over

     

    あなたはもう終わりにしたいと言うけれど

    本当にこれは終わりなの?

    もし、本当に終わりなら、、、

     

    You say you want it to be over

    But is it ever really over?

    I've been trying, but I can't give it up

     

    あなたはもう終わりにしたいと言うけれど

    本当にこれは終わりなの?

    私は頑張っているのよ、諦めたくないの

     

     

    [Chorus]

    Yeah I'm not sure about it

    But I'm sure you can change my mind

    Do you wanna go without me?

     

    確信は無いけど

    でもあなたの気持ちが変わると信じているのよ

    あなたは私を置いて歩みだしたいの?

     

    Yeah I'm not sure about it

    But I'm sure you can change my mind

    Do you even think about me?

     

    私の気持ちは揺らいでいるの

    あなたの気持ちが変わると信じているのよ

    私のこと、考えてくれたことあるかしら?

     

     

    Do you even think about me?

    Do you even think about me?

    Do you even think about me?

    Do you even think about me?

     

    私のこと、考えてくれたことあるかしら?

     

     

    Do you even think about me?

    Do you even think about me?

    Do you even think about me?

    Do you even think about me?

     

    Do you even think about me?

     

    私のこと、考えてくれたことあるかしら?

     

     

    考えてくれたことあるかしら?と言われても40歳手前のおっさんが20代そこそこの女性の気持ちを正面から向かい合い考える事など非常に気味が悪い。

     

     

    某メディアのインタビューによると、EP"Sugar & Spice"の楽曲の多くは「愛について」書かれたものであり、それはPilbeam嬢がまさしく深い愛と、同時に大きな喪失を得たタイミングでもあったそうだ。

    ことほど左様に"Sure"は別れについての詩ではあるが、現在のPilbeamは既に前を向き、自分の立ち位置を明確かつ客観的に見据えている。

     

     

    Pilbeam:I don’t want to be a pop star. I’m not like that.I realized that you don’t have to be a pretty girl. You don’t have to sing about a guy breaking your heart to be a female singer. You don’t have to wear a dress.

     

    「ポップスターになんてなりたくないの。この先可愛い女の子であり続ける事も、女の子を傷つけるゲスな男について歌い続ける必要もなければ、派手な衣装なんてなもっと必要ないでしょ?」

     

     

    誰の事を言っているのか。アイツとアイツだろうな。

    客観的な人間は強い。才能があれば尚更だ。HatchieデビューEPは間もなく入荷。

     

    ちなみに彼女のファイヴァリットアーティストはWolf Alice, the Horrors, Alvvays, Frankie Cosmos等だそうです。

     

     

     

    Alffo Records 対訳ピックアップ NO. ISOLATION BERLIN "KICKS"

    2018.03.27 Tuesday

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      Alffo Records独占入荷、Isolation Berlinのセカンド・アルバム『Vergifte Dich』はリードシングル"Kicks"のインパクトもあり前作よりも好調なセールスを記録中。 『Vergifte Dich』とは英訳すると「Poison Your self」、どこかで聞いたなと思ったら岡本太郎の名著『自分の中に毒を持て』と同意なのである。

       

       

       

      フロントマンTobiasは作家としても活躍しており、ドイツ文学を代表する作家=ヘルマン・ヘッセやクライスト賞(ドイツの文学賞)受賞作家エルゼ・ラスカー=シューラーの影響を強く受けているという。という意味で彼の書く詞には大いに関心を持っている。

       

       

      が、ドイツ語が全く判らない。中国語を専攻しておきながらニーハオとシェイシェイしか覚えられなかったならばせめてドイツ語を専攻しておけばよかったユニバーシティ・ライフ。

       

      という事で彼等のサポートを続ける有能な女史に対訳を送ってもらいました。対訳ピックアップ番外編。

       

       

      Ich war schon überall

      Ich hab alles schon erlebt

      Ich hab alles schon gespürt

      Es hat zu nichts geführt

      Ich hab alles schon gespürt

      Es hat zu nichts geführt

       

      いろんなところへ行った

      あらゆることを経験した

      とっくに何もかも感じていた

      なのにそれは何も繋がらない

      とっくに何もかも感じていた

      なのにそれは何も繋がらない

       

      Alles was ich kenne, taugt mir nichts

      Ich brauche neue

      Ich brauche neue

      Ki-ki-ki-Kicks

      Ki-ki-ki-Kicks

      Kicks, Kicks

       

      私が知っていることは何も役に立たない

      新しいことが必要だ

      新しいことが必要だ

      K-K-K-Kicks

      K-K-K-Kicks

      Kicks

       

      Ich hab alles schon geliebt

      Ich hab alles schon gehasst

      Ich hab alles schon besessen

      Es war alles nur Ballast

      Ich hab alles schon verprasst

      Es war alles nur Ballast

       

      すべてを愛した

      すべてを嫌った

      すべてを手にした

      それはすべてただの重荷だった

      すべてを手にした

      それはすべてただの重荷だった

       

      Alles was ich kenne, taugt mir nichts

      Ich brauche neue

      Ich brauche neue

      Ki-ki-ki-Kicks

      Ki-ki-ki-Kicks

      Kicks, Kicks

       

      私が知っていることは何も役に立たない

      新しいことが必要だ

      新しいことが必要だ

      K-K-K-Kicks

       

      断絶、孤独、閉塞感。Isolationと名乗るバンドに相応しい、シンプルだが重く響く歌詞である。

      Isolation Berlinがどの様なバンドか形容するに膝を打つレビューがあったので紹介したい。

       

       

      「まるで『クリスチーネ・F』の世界から出てきた様なバンド、それがIsolation Berlinだ」By Der Tagesspiegel

       

       

      『クリスチーネ・F』はデヴィッド・ボウイが本人役で出演した事も話題となったドイツのカルト青春映画。

      少女のドラッグと売春をリアルに描いた本作はダーレン・アロノフスキー監督のウルトラ欝映画『レクイエム・フォー・ドリーム』に大きな影響を与えたであろう事は想像に難くない。ピュアで美しい若者達の「崩壊の過程」を見せつける本作は初見であれば相当な一撃を喰らう筈であろう。そして貴方が若ければ若い程手に取り鑑賞して欲しい映画でもある。

       

       

      話を戻すと、"Kick"の焦燥感とフラストレーションに反して同アルバム収録の"Marie"にはこんな美しい一節がある。

       

      Deine Augen

      Blinzeln ins Licht meiner Erkenntnis

      Das dir viel zu grell erscheint

      Du hast jetzt lang genug geweint

      Spür doch, es weht ein frischer Wind

      In Richtung Hoffnung und

      Dort steht ein Schiff für dich bereit

      Die Welt ist so unendlich weit

      Die Segel sind schon lang gehisst

      Ich will, dass du jetzt glücklich bist

      Ich will, dass du mich jetzt vergisst

       

      君の瞳は

      私の眼光の中で瞬きする

      それは君にとって眩しすぎるように

      いま君はもう十分に泣いたんだ

      新しい風が吹いているのを感じる

      希望に向かって

      君を待っている船がある

      世界はどこまでも広く続き

      吊り上げられた帆は長い間君を待っている

      いま私は君を幸せにしたい

      いま君に私のことを忘れてほしい

       

      全訳は端折るが、別れと、そして新たな旅立ちを示唆しながらも極めて叙情的であり美しい言葉が用いられている。

       

      女史によるとドイツを代表するバンドRAMMSTEINのキーボーディストはIsolation Berlinの大ファンで、サウンドはもちろん、退廃的でありながら美しい詞にも敬意を表している様だ。年齢も性別もジャンルも越える、それほどの力がIsolation Berlinの詞にはあるといえよう。

       

       

      Shame”Concrete"の対訳と並べてみても、今彼等の様な焦燥感を抱え綴る事は極めて普通の感覚だと思う。

       

      「原理的に考えて、どのような社会であれ、人間が作る社会が「完全性」に到達することは不可能である。また、システム自体の優位性を誇るシステムは、現状を維持しつづけること、それ自体が目標であり存在意義になってしまうからだ。

      (『映画のディストピア』より)」

       

       

      完全でない人間の作るシステムをもっと恐れなくてはいけない。

      この世界は「Kicks=起爆」するには既に十分な火薬に覆われている。

      そして貴方が若ければ若い程手に取り聴いて欲しいバンドなのだ。

       

       

      ISOLATION BERLIN / VERGIFTE DICH

       

       

      ISOLATION BERLIN / UND AUS DEN WOLKEN TROPFT DIE ZEIT

       

       

      ISOLATION BERLIN / BERLINER SCHULE / PROTOPOP