Alffo Records 対訳ピックアップ NO. HAIM "WANT YOU BACK"

2017.07.25 Tuesday

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    <Text By Seiji Nakashima & Tina>

     

    デビューアルバムで小さくない成功を手にしたバンドは膨大なプロモーション、ツアーの連続によって心身共に疲弊し、結果ダークサイドに陥る事がまま多い。既にリリースされているので多くの人が耳にし、心躍らせているだろうが、Haimの2作目『Something To Tell You』は全くもって、それら多くのバンドに宿命的に立ちはだかる「鬼門」を回避し、誰もが狂喜する(できる)セカンドアルバムを完成させた。「姉妹の絆」はあまりに強い。

     

    女性アーティストばかりで申し訳ないが(別に申し訳ないと思ってないが)優れた女性アーティストが次々と素晴らしい作品をリリースするので全然僕の所為じゃない。

     

     

    今回はHaim"Want You Back"。

     

     

    ・Haim

    Este Haim、Danielle Haim、Alana Haimの3姉妹によるインディ・ロックバンド。"Fallin'"、"Forever"、"Don't Save Me"とシングルを全ヒットさせ、デビューアルバム『Days Are Gone』を異例の大成功に導いた。「最も次作が待たれるガールズ・バンド」による最新作『Something To Tell You』を2017年7月リリース。長女Este Haim(Bass)がパフォーマンス中に繰り出す百面相はHaimの風物詩。

     

     

     

    Some things are long forgotten

    Some things were never said

    We were on one endless road

    But I had a wandering heart

     

    長く忘れられた事もある

    何も伝えられなかった事もある

    2人で終わりのない道を歩いていたつもりだけど

    でも私の心はいつも揺らいでいたの

     

     

    I said we were opposite lovers

    (Said it from the beginning)

    you kept trying to prove me wrong

    (Said you'd always see it through)

    and I know that I ran you down

    So you ran away with your heart

     

    私たちは正反対だったし

    (はじめから言っていたけど)

    あなたはそれは間違いだって言い聞かせようとした

    (全部お見通しだって言ってたわよね)

    あなたの事を悪く言ってしまった事はよく判ってる

    だからあなたは気持ちを抱えたまま去ってしまったのね

     

     

    ※But just know that I want you back

    Just know that I want you back

    Just know that I want you,

    I'll take the fall and the fault in us

    I'll give you all the love I never gave before I left you

     

    Just know that I want you back Just know that I want you back Just know that I want you,

    I'll take the fall and the fault in us

    I'll give you all the love I never gave before I left you※

     

    ※帰ってきてほしいのよ

    お願いだから私の所に戻ってきてほしい。お願いだから判ってほしいの。

    私にはあなたが必要で、二人の過ちは全て私が背負うから

    これまでに与えられなかった全ての愛をあなたに捧げるから※

     

     

    I know it's hard to hear it

    And it may never be enough

    But don't take it out on me now

    'Cause I blame it all on myself

     

    聞くのが辛いのは分かっているわ

    満たされる事なんで無いって事も

    でも今は八つ当たりしないでよ

    全部自分のせいにしちゃうから

     

     

    And I had a fear of forgiveness

    (Said it from the beginning)

    I was too proud to say I was wrong

    (Said you'd always see me through)

    but all that time is gone

    No more fearing control, I'm ready for the both of us now

     

    私はあなたを許すのが怖かったし

    (最初から言ってたでしょ)

    傲慢すぎて間違えも認められなかったの

    (あなたはいつも見通していたわ)

    でももう時は過ぎたから

    「支配」を恐れず、全てを受け入れる準備はできてるのよ

     

    ※Repeat※

     

     

    今回はあまり内容についてごちゃごちゃ言いません。

    ガールズ・バンドだから、という一面的な見方をせず、「"I"は男でも女でもどちらでもあって私であり貴方でもある」という視点で詠んでもらって、それで共感できなければそれまでかと。

     

     

    MVについて少し。ゴーストタウンの様な虚無的な街は先日他界したゾンビの父=ジョージ・A・ロメロ映画の様であり、Haim姉妹のダンスとも言えないダンスはとことんやる気の無いミュージカルみたいで、凄くカワイイ。

    監督は『Paper Town』で知られる実力派Jake Schreierだそう。

     

    『きっと、星のせいじゃない。』の原作者×『(500)日のサマー』のスタッフが贈る、キュートでビターな青春ラブ・ストーリー。

    オーランドに住むクエンティンとマーゴは幼馴染。クエンティンは幼い頃、初めて会ったときにマーゴに一目惚れ。

    しかし、成長するにつれて2人の仲は疎遠になっていた。ところが、高校卒業が数週間後に迫ったある夜、マーゴがクエンティンの部屋の窓から突然現れる。彼女は自分が二股をかけられていたことに腹を立て、恋人やその友人に対して仕返しを企んでいたのだった。クエンティンはマーゴの復讐を手伝い、楽しい一夜を過ごす。だが、翌日からマーゴは学校に登校しなくなる。彼女のことが心配でたまらないクエンティンは、ミステリー好きの彼女が残した手がかりを追って、居場所を突き止めようとするが…。(Filmarksより)

     

     

    なるほど"Want You Back"のMVにJake Schreierが起用された理由がちょっとだけ判る気がする。

    記憶が正しければ『Paper Town』は日本未公開だった筈なので折角なので観てみよう。(皆さんも)

    Alffo Records 対訳ピックアップ NO. MUNA "I KNOW A PLACE"

    2017.05.11 Thursday

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      <Text By Seiji Nakashima & Tina>

       

      随分前に訳をあげてもらっていたのだが、止まぬ入荷に手足をとられ、相変わらずの牛歩っぷりをお赦し下さい。

      今回は新星Munaの"I Know A Place"。

       

       

      ・Muna

      南カリフォルニア大学の同級生だったケイティ、ジョゼット、ナオミの3人によって結成されたガールズ・トリオ。

      メンバー全員が「セクシャル・マイノリティ」である事を自称しており、ポップな楽曲の反面、社会的なメッセージを多分に孕んだ歌詞で話題となっている。

       

       

      *****************************************************************

      I knew
      When you told me you don't wanna go home tonight
      And you tried to just shrug it off when I asked you why
      Somebody hurt you
      Somebody hurt you
      But you're here by my side
      And I knew
      'Cause I can recall when I was the one in your seat
      I still got the scars and they occasionally bleed
      Cause somebody hurt me
      Somebody hurt me
      But I'm staying alive

       

      分かっていたの

      あなたが今夜は家に帰りたくないと言った時

      私が何故なの?って聞いたら分からないふりをしたけど

      誰かがあなたを傷付けたのよね

      誰かがあなたを傷付けたのよね

      でも私はあなたのそばにいるから

      知っているの

      私はあなたと同じような経験をしたことを思い出したわ

      その傷はまだあるし、たまにまだ心が痛くなるの

      誰かが私を傷付けたから

      誰かが私を傷付けたから

      でも私はまだ生きているわ

       

      And I can tell
      When you get nervous
      You think being yourself
      Means being unworthy
      And it's hard to love
      With a heart that's hurting
      But if you want to go out dancing

       

      私にはわかるのよ

      あなたが不安になっている時が

      自分らしく生きようとするって

      価値のないことだって思うかもしれないし

      傷ついた心で

      誰かを愛すことは難しいけど

      踊りたくなる時が来れば

       

       

      I know a place (ooh)
      I know a place we can go (yeah)
      Where everyone gonna lay down their weapon
      Lay down their weapon
      Just give me trust and watch what'll happen
      'Cause I know (ooh)
      I know a place we can run (yeah)
      Where everyone gonna lay down their weapon
      Lay down their weapon
      Don't you be afraid of love and affection
      Just lay down your weapon

       

       

      私は知っているのよ

      一緒に行ける場所を知っているの

      みんな武器を持っていない場所を知っているの

      だから私を信じて次に何が起こるかを知って欲しいの

      だって私は知っているの

      私たちが自由に走り出せる場所よ

      みんな武器なんて持っていない場所なの

      だから愛と優しさに怖がらないで

      あなたも武器を捨てて欲しいの

       

       

      Right now
      It's like you're carrying all the weight of your past
      I see all your bruises, yellow, dark blue, and black
      But baby a bruise is, only your body
      Tryna keep you intact
      So right now
      I think we should go get drunk on cheap wine
      I think we should hop on the purple line
      'Cause maybe our purpose
      Is to never give up when we're on the right track

       

       

      あなたは今

      過去の重荷を担いでいるみたいだし、

      あなたの傷の色が黄色くて、青くて、黒いのも見えるわ

      でもね、傷っていうのは体の一部であって

      ただただあなたを守ろうとしているだけのよ

      だから、

      安いワインを飲んで一緒に酔ってみようよ

      電車に飛び乗ってどこかへ行ってみようよ

      だってもしかしたら、私たちが生きる目的って

      正しい方向に向かう時に諦めないってことかもしれないし

       

       

      And I can tell
      When you get nervous
      You think being yourself
      Means being unworthy
      And it's hard to love
      With a heart that's hurting
      But if you want to go out dancing

       

      でも私にはわかるのよ

      あなたが不安になっている時が

      自分らしく生きようとするって

      価値のないことだって思うかもしれないし

      傷ついた心で

      誰かを愛すことは難しいけど

      踊りたくなる時が来れば

       

       

      I know a place (ooh)
      I know a place we can go (yeah)
      Where everyone gonna lay down their weapon
      Lay down their weapon
      Just give me trust and watch what'll happen
      'Cause I know (ooh)
      I know a place we can run (yeah)
      Where everyone gonna lay down their weapon
      Lay down their weapon
      Don't you be afraid of love and affection
      Just lay down your weapon
      (Lay down your weapon)

       

      私は知っているのよ

      一緒に行ける場所を知っているの

      みんな武器を持っていない場所を知っているの

      だから私を信じて次に何が起こるかを知って欲しいの

      だって私は知っているの

      私たちが自由に走り出せる場所よ

      みんな武器なんて持っていない場所なの

      だから愛と優しさに怖がらないで

      あなたも武器を捨てて欲しいの

       

      They will try to make you unhappy
      Don't let them
      They will try to tell you you're not free
      Don't listen
      I, I know a place where you don't need protection
      Even if it's only in my imagination
      I, I know a place we can go
      Where everyone gonna lay down their weapon
      Lay down their weapon
      Just give me trust and anything can happen

       

       

      周りはあなたを不幸にさせたがるかもしれないけど

      そんなこと気にしないで

      周りはあなたは自由になれないというかもしれないけど

      そんなこと信じたらダメ

      防御しなくても大丈夫な場所、私は知っているのよ

      たとえそれが空想の中でも

      一緒に行ける場所を知っているのよ

      みんな武器を持っていない場所を知っているの

      ただ私を信じて、素敵なことも起こるから

       

       

      'Cause I know (ooh)
      I know a place we can go (yeah)
      Where everyone gonna lay down their weapon
      Lay down their weapon
      Just give me trust and watch what'll happen
      'Cause I know (ooh)
      I know a place we can stay (yeah)
      Where everyone gonna lay down their weapon
      Lay down their weapon
      Don't you be afraid of love and affection
      Just lay down your weapon

       

      私は知っているのよ

      一緒に行ける場所を知っているの

      みんな武器を持っていない場所を知っているの

      だから私を信じて次に何が起こるかを知って欲しいの

      だって私はそういう場所を知っているの

      私たちが走り回れる場所よ

      みんな武器なんて持っていない場所なの

      だから愛と優しさに怖がらないで

      あなたも武器を捨てて欲しいの

      *****************************************************************

      冒頭にメンバーが全員セクシャルマイノリティーだと記述したが、その背景を鑑みれば解説の必要が無いほどシンプルな歌詞だ。

       

      だがしかし、問題とするテーマの根深さ故に、シンプルでなければいけない理由がある。

       

       

      2015年6月26日、アメリカ連邦最高裁判所は「同性婚は合憲」と決議、これによりアメリカ全州において同性婚が認められた。

      キリスト教国家において歴史的な改憲である事は言うまでもない。

       

      しかしそれはあくまで「法的」にであって、全米のセクシャルマイノリティー達に安住の地が約束された、という意味では無い。

      オーランドのLGBT(レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)向けナイトクラブで起こった、死者50人以上にも及ぶ銃乱射事件はまだまだ記憶に新しい。

       

       

      この惨劇はオマール・マティーンという一人の男によってひきおこされた。

      ISを自称する者によるアメリカ国家そのものへのテロなのか、それともセクシャルフリーに対する憤りからなのか、犯行の動機については本人のみぞ知る所だ。しかしこの事件によって多くのセクシャルマイノリティーに想像を絶するショックを与えたであろう事は間違いない。

       

      そしてそれはあくまで氷山の一角なのである。同性愛者を描いた多くの映画からも学んだ。

       

       

      話を歌詞に戻すと、"I Know A Place"でソングライターのケイティは、

       

      「マイノリティでも安心していきていける居場所はきっとある。だから絶対に暴力に屈しないで。」

       

      という強いメッセージを全編において言い放っている。

      特に、繰り返される「Lay down their weapon」、「Just lay down your weapon」のパートが印象深い。

      Weaponとは何も銃や刃物といった武器だけでは無く、偏見、差別意識、言葉による暴力も指している筈だ。

      それにしてもメタフォリカルな言い回しは"I Know A Place"には一切無いと言っても過言では無い。

       

       

      「問題とするテーマの根深さ故に、シンプルでなければいけない理由がある。」

       

       

      なぜならそれは誰にでも届く強くポップなメロディと、誰にでも理解できる平易な言葉でなければならない。

      性別も年齢も人種も越えて、そして痛ましいフロリダの事件があった後だからこそ、より多くの人に届けなければならない極めて重要なメッセージからだ。「ベトナム戦争」という歴史的愚行にレスポンスしたジョン・レノンの"イマジン"がそうであった様に。

       

       

      Imagine there's no countries 
      It isn't hard to do
      Nothing to kill or die for
      And no religion too 
      Imagine all the people
      Living life in peace

       

      想像してごらん 国境なんて無いんだと
      そんなに難しくないだろ?
      殺す理由も死ぬ理由も無く
      そして宗教も無い
      想像してごらん みんなが
      ただ平和に生きているって...

       

       

      "I Know A Place"がこれからあらゆるダンスフロアで鳴らされる日がくれば、世界は今より少しだけマシなるかもしれない。

       

      と、想像する所から始めよう。

       

       

       

      *訳者のTina女史は"I Know A Place"を聴いてPetula Clark”Downtown"を思い出したそうです。