ALFFO RECORDS MOVIE REVIEW『ダンケルク』

2017.09.08 Friday

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    明日9/9から公開、現役最強の監督として名高いクリストファー・ノーラン最新作『ダンケルク』。

    縁あって一足先に試写に行ってきた。

     

     

    最初に断わっておくと、『ダンケルク』が面白くない訳では無い。

    だが、クリストファー・ノーランは「風景画」は絶品だが「人物画」を描くマインドに大きな欠落がある、というのが今日までずっと抱き続けている持論だ。

     

    実際、今作に関するインタビューでノーランは、

     

    「ゴーグルを必要としないVR」

    「ライド型の映像体験」

     

    というフレーズを自信の口からきっぱり言い放っている。豪語するだけあって「映像作家」としてのノーランは今回も「やっぱすごいね」と誰もが顔を見合わせるだろう。

     

    だが「人物画」、すなわち物語を推し進めるべき筈の「登場人物」の描き方に全く魅力を感じ無いのは「映画」として致命的である。

     

     

    例えば直近で観た『Baby Driver』『新感染』ははっきりいって大したストーリーでは無いが、どちらもキャラ立ちが凄まじい故物語が自然と動き出す。そして魅力的なキャラクターに感情移入した我々は一層その物語に深く没入する事ができる。それは例えどんな低予算だって映画を面白く出来る最大のスパイスだ。

     

     

    あくまで個人的に、ではだが、ノーラン全作品に同じ事が言えると思っていて、実際『ダークナイト』『インセプション』『インターステラ―』も未だに「あれ、どんな話だったかな。」「どうオチたっけ。」と頭を抱える事が多い。(自脳が低スペックな問題もあるが)。おまけに上映時間が長いうえに説教くさいとすら思える浅い「生命賛歌」を謳われてイライラした記憶すらある。つまり「物語」が記憶に残らないのだ。ノーランがブレイクした『ダークナイト』はジョーカー役のヒース・レジャーが文字通り、命をかけてあ・の・凄まじいキャラクターを作り上げ、リミットを越えて物語を推進したから成立する作品である、という評価を誰が否定できようか。

     

     

    『ダンケルク』の映像はやはり凄いし美しいし迫力もあるしおまけにライド感もある。だが2時間近くもジェットコースターに乗ってたら誰だって飽きるでしょう。

     

     

    そこで映画として重要なのがやはり「物語」なのであって、「物語」「人物」の描き方に欠損があるならば『カラーでみる第二次世界大戦』とかNetflixにアップされているドキュメンタリーの方がよほど胸に迫るものがある。『ダンケルク』はあくまで実話を基にしたフィクションであって、フィクション(虚構)とは優れた嘘で現実を揺さぶる事が至上命題である。

    ノーランが敬愛して止まないスピルバーグは『ジョーズ』の時から今なお映像の革命児であるが、それ以上に稀代の「ストーリーテラー」なのであってそこに大きな差がある。遥か昔の神話や聖書やおとぎ話がいつまでも語り継がれるのは、人間が常に「物語」を欲する生き物だからだと思いませんか。ないがしろにしているとは言わないがはっきりいって『ダンケルク』にも物語のうねり=グルーヴは、無い。

     

     

    ここまでくるとノーランは「人間」そのものにあまり関心が無いのかもしれない。とすら思うがでも次も観にいくから頑張れ、ノーラン。

    本当に鬱る映画 "バイオレンス・レイク"

    2016.10.12 Wednesday

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      今月の映画秘宝の特集は「怖い映画BEST20」。

       

      1位 ミスト

      2位 死霊館

      3位 ホステル...

       

      と続く中、ベスト10圏内作品で唯一観ていないものがあった。

       

       

       

      「バイオレンスレイク(Eden Lake)」

       

       

      本格的ブレイク前のマイケル・ファスベンダーが出演しているが日本未公開。

      余暇を満喫しに保養地(Eden Lake)を訪れたカップルがガキグループに執拗に手籠めにされるという実にシンプルな話だ。

       

       

      ガキが怖い映画といえば1976年公開の「ザ・チャイルド」が有名かどうかは判らないが、この「バイオレンスレイク」は「ザ・チャイルド」、「鮮血の美学」、「アポカリプト」、「ホステル」を彷彿させる非常に不愉快な傑作であった。

       

      色々な部分で近似性を感じる超不快傑作映画「鮮血の美学」で悪名を轟かせた天才監督ウェス・クレイヴンは「自然はセットがいらないからコストが安いんだよ」と語っており、レイク(というか大半はフォレストだが)を舞台にした本作もやはり超低予算で作られている。

       

      The Last house On The Left (鮮血の美学) このポスター欲しい

       

       

      鬱で低予算、それでもこの映画は最後まできっちり目が離せない。バイオレンス(暴力)、ホラー(恐怖)、サスペンス(謎)、スリラー(緊張)の要素はバランスよく話のテンポも良い。観る者の興味と緊張感を持続させるにとてもよく考えて作られた作品になっている。そして「子供は純粋である」という大人の既成概念を逆手にとりつつも、ちゃんとガキグループの人間くさい内ゲバまで描かれているあたり、フィクションの中にも非常に厭なリアリズムを持たせている。あとオチの不条理さも素晴らしい。

       

       

      この手の作品はあらゆる文言がネタバレになる可能性があるので興味がある方は是非予備知識無しで観ていただきたい。

      (トレイラーはとってもつまらなそうだが、、、)

       

      ついでに僕の恐い映画ベスト1はブルーバレンタインです。